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現代新人魚伝説 7 東京の海は重たいの [海のお話し]

それからぼくたちは何度か会い、互いの部屋を訪れもした。
彼女のアパートの部屋はとても質素でエアコンだけは妙にきつく、それなのに湿っぽかった。
島のことは何度か訊いたがはぐらかされ、そのままだった。
ある休日、二人で遅いランチを取った後近所の公園をぶらついた。
浮かない顔の彼女は自宅近くを流れる隅田川の橋の上まできて
川面を見下ろしながらつぶやいた。


「ここまで海の水が入って来るのよ。溶けていけるわ。」
「東京の海は暗く重くて冷たいの。もう帰らないと。」

「え?な、なに、なんだって?」

吹き抜ける風に秋の海の気配を感じた。

橋の上で何を想っているのか_013trim650.jpg


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